TBSはぐれ署長の殺人急行47月9日

タイトルは日光鬼怒川連続殺人と続き、3時間スペシャルだという。

2時間ドラマ枠を拡大するのはせいぜい2時間半で、3時間は異例。ぼくが知っているのは、同じTBSの浅見光彦シリーズで1度やったぐらい。これも、2つの違う話をくっつけて、3時間ものに仕立てていた。実質、1時間半もの2本。

さて、本作は恵俊彰主演のシリーズもの。主人公は警察のエリート官僚だが、霞関を追われ、地方の警察署長として異動を繰り返すという設定。階級は警視長で、相当偉い。警視庁の部長相棒なら片桐竜次が演じる刑事部長。杉下右京警部より3階級偉いとか小さな県の本部長とか、そういうレベル。どこぞの署長など偉すぎてしないはずだが、そこはドラマ。

鉄太郎恵俊彰はフニャフニャした署長で、警察庁から追われたのは横領のせいだとか噂され、現場からバカにされてドラマは始まる。次第に見直されて、現場が率先して従うようになる、というパターン。鉄太郎左遷の詳しい状況は、よくわからない。今回、長男に別の人の罪をかばったみたいな話をしたが、ある程度具体的に語ったのは、これが初めてじゃないだろうか。

鉄太郎、そこらへんの偉そうなヤツ警視とかが出てきて、いつまでもやいやいウザいと、印籠よろしく警視長でねじ伏せるのがお決まり場面。警視じゃあ、2階級違う。

鉄太郎は鉄ヲタ。話のスジが鉄道絡み、鉄ヲタならではの視点で事件を解決していくというのも型。

登場人物は、各地の県警を転としながらないって、んなこと。笑、鉄太郎の異動先の近くで刑事をやる勝村政信中山忍。今回は埼玉県警の強行犯関係のどっかに所属。鉄太郎の姉に藤真利子

鉄太郎が署長を務める栃木県日光何とか署の刑事に松澤一之。群馬県警の署員の山下容莉枝。この2人ぐらいになると、いつも安定、安心ですね。

変な点はネタバレさせながら指摘するつもりだけど、そんなに悪い出来ではなかった。3時間、特に冗長感もなく観られたから、ぼくはその点を評価したい。短いのも大変だけど、長いのも大変だと思う。

話は、栃木にできた、北関東厚生保護センターなる施設の除幕式って場面から始まる。竜雷太警察OBで、三船という名の地元出身の法務大臣長谷川初範郷原関東管区警察局長が登場。この2人、まず間違いなく悪いヤツ。いきなりわかりやすい。

さあ始まったぞ。死体発見。上半身は栃木県、下半身は埼玉県、右腕は群馬県に転がっていた。

3県の県境が1所に?ありそうではあるけど。。と思って調べてみたら、あった。

栃木群馬埼玉の三県境

しかも平地だそうだから、設定としてもインチキではない。で、3つの県警がウチのヤマだとか主張して、まずもめる。戒名はウチの県から書けなどと、ちっちゃいことでももめる。3県の刑事が縄張り争い、対立。

こういう場合は、だいたい警視庁対神奈川県警とか、対マンでしょ。珍しい三つどもえ。いいじゃない、考えたね!

これ以降は、さらにネタバレが激しくなるので、視聴のご予定がある方はご遠慮ください。かつ、長いので、自分で書いておいてアレですが、もう要らないと思います。笑

純平は、昔、中山忍が補導した男で、今は更生してカタギ。小さな娘の腎臓がかなり悪く、純平がドナーとなる手術が決まっていた。ところが純平、何者かに呼び出されて殺されそうになる。あげく、包丁を持たされて、とにかく逃げよう。。おいおい、娘の手術はどうするの。一人娘が死んじゃうよ。。

残り時間を切って、スリリングな展開にすべく、娘の手術を早くしないといけない、って組み立てるのはいい。しかし、逃げちゃあダメだろう。笑

逃げ切ったところで、病院を見張られているからアウト!誰でもわかる。

例えばどっかに監禁されましたとか、腎臓悪い子の兄弟が誘拐されてハムレット局面、とかでどう?

まあ、ここは、パパが昔、警察のご厄介になって、警察アレルギーってことで、流そう。

とりあえず純平が持っていたらしい金の延べ棒を軽と取り扱う中山忍。あのー、金って比重が重いんで、それ、1kgの延べ棒ですよね。しかもお値段は5百万円弱。とにかく、純平が怪しい状況証拠。

以降、どの出演者も、金の延べ棒をまるで木材の破片か何かのように取り扱っていく。無造作。重みも価値もない。汗

2年前に起こった日光3億円延べ棒強奪事件。上からの圧力でもみ消し。郷原関東管区警察局長の仕業。山のあちこちを掘ったら出てくる金の延べ棒は、その事件の関係のものらしい。

何だかんだで集まった金が1千万円単位。昔、どっかの県警の警察署の金庫から何千万円かなくなっちゃいましたけど、栃木県警の日光何とか署の金庫は大丈夫っすか。汗

しかし、日光って場所で3億円分の金の延べ棒。現金でもつらいのに。。日光中の金をかき集めて、いくらぐらいある?そんなもんを運んだ経緯も不明。笑

その間、なぜか何とかNPO代表の宇梶剛士が自首してくる。しかし、殺人の状況も何も黙秘するので、誰かをかばっていると一目瞭然。不本意にも釈放され、よくわからないけど自殺未遂。

ワル仲間つながりで、県境またがり殺人事件と3億円事件は連動しているとわかったが、なぜか横やり郷原局長。階級は警視監って、もう上には警視総監しかいないクラス。激エラ。相棒だと石坂浩二とかですね。警視長の鉄太郎もかないません。郷原局長、この事件の指揮は私が執ると言って、鉄太郎を排除。あげく、警視庁に協力を要請するとかしたとか、意味不明の放言。警視庁の管轄は東京都、要するに東京都警。呆

もっとも、その後、警視庁は一切登場しません。笑

あらら。警視長のご威光通じず、いつもと違うぞ。具合ワル。どうするつもり?

病気の娘をほったらかして逃亡中の純平、お巡りさんに見つかったところに、なぜか中山忍が出現。いっしょに逃げて娘の病院へ向かうが、刑事に捕まってアウト!当たり前じゃん。中山忍、刑事のくせにマヌケすぎ。

純平は取調室直行。中山忍は捜査から外される。ってか、容疑者の逃亡を助けたんだろ。よく捜査から外される程度で済んだな。処分、あますぎ。後日、まさかの復帰。笑

娘の腎不全が進行、娘の手術は3日以内に。。とっ捕まった純平を釈放して手術を受けさせるためには、早く真犯人を見つけないといけない。最初からこの状況にしておけばよかったのに。素直に包丁を差し出したら、警察から因縁つけられてなかなか出してもらえない。署内で暴れてブタ箱入り継続。身の潔白が証明されずにジリジリする。中山忍、必死でかけずり回る。郷原局長率いる人でなしが嫌がらせ展開。

捜査が進んでイラだつ郷原局長、再度の横やり。こいつ、法務大臣とつるんでやがる。バレバレ。これは警察庁のヤマじゃない、曲がった命令には従えないと突っぱねる鉄太郎。責任は私が取ると、突然、威勢がいい。現場の刑事さんたち、クラクラッ。頑張ろう!

それならもっと早い段階で開き直ったらと突っ込みたくなったが、ここはドラマチック感優先で。

吸い殻をこっそり持ち帰ってDNA鑑定をして、竜雷太宇梶剛士が親子だってわかるのはいい。だからって、取り立てて恩義もない、どころか、母親もろともほったらかしてきた父親や、異母弟の殺人をかばったり、自殺を試みるのは、展開として説得力に欠ける。

話の途中で再三、親父に会いたがり、それを異母弟が拒否り続けるってのも、説明がないからよくわかんない。どうやら異母弟が自分の犯行を親父にバラされるのを恐れたんだろうが、そこは最後にでも説明しないと。3時間もあるんだから。

ダイヤグラムで犯人暗示。ぼくみたいな鉄道素人にも説明が行き届いて、悪くはない。鉄ヲタ模型の下に紙貼り付け。何形の電車がどうのこうの。ヲタ話をやり過ぎてはいないし、いいんじゃないですか。

最後、証拠がないまま、法務大臣の良心に任せちゃう。これは激ヨワ、ダメスジ。竜雷太はこの国には私が必要だって、悪い議員さんのお決まり文句を吐くわけです。んなもん、秘書の息子を警察に突き出すわけねーじゃん。で、法務大臣は辞めても議員は辞めないって。これはナシ、勘弁して。。

竜雷太の疑惑追及を握りつぶされ、新聞社をクビになったジャーナリストと、霞関からたたき出された元官僚の話。途中までの葛藤は全然よい。で、ジャーナリストの説得で元官僚も立ち上がって、だから何?ぐらいの収め方。竜雷太と秘書の息子を決定的に追い込む証拠を掴んで、鉄太郎と連携プレイとか、この2人をもっと有効活用したかったなあ。とにかく悪徳政治家の良心に任せちゃダメ。2時間ドラマにならない。笑

郷原局長が改心するのは、否定しない。元は鉄太郎が憧れたぐらいの、警察の素晴らしい一員で、自分の夢を達成するために手段を誤ったことを反省する、ってスジだから。シリアスなドラマではダメだけど、2時間ドラマでは全然OK。

今回は、警視監が出てきて警視長印籠を使えなかった。鉄太郎シリーズ、これで終わらせるつもり?次また警視相手に警視長だってやっても、グレードダウン感が否めないっすよ。