「恥部」をさらす杉田水脈自民党衆議院議員

杉田水脈自民党衆議院議員の「発言」が炙りだしたのは、安倍一族や右派勢力の「恥部」だ。

アイデンティティが未熟なカレラは、異性愛以外の性的嗜好を受容することができず、攻撃的になる。「慰安婦問題」問題に活躍の場を求めてきた杉田水脈自民党衆議院議員の手口は、ABEと同じく論証するのではなく、攻撃的な主張を繰り返すばかりの非説得的な主張の繰り返しにすぎない。「炎上」も織り込んだうえで、騒ぎが大きくなると、自分が注目されていること自体に陶酔する人格は手におえない未熟さだ。

こういう人間に、人間の複雑な内面の深い理解を求めることはできないが、こういう人間を国会議員にしないことは重要だ。

[大弦小弦]

国会議員の発言に

失望したことは何度もある…

2018年7月25日:沖縄タイムス・大弦小弦

 国会議員の発言に失望したことは何度もある。だが、これほど危機感を覚えたのは初めてかもしれない。自民党杉田水脈衆院議員が月刊誌に寄稿し、LGBT(性的少数者)の行政支援に疑問を呈した

▼LGBTカップルへの支援に税金を使うことがいいのかと問い、その理由に「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない」と主張したのだ

▼そもそも人を「生産性」で区分けすること自体が、重大な人権侵害である。当事者だけでなく、個々人の生き方を無視した乱暴なとらえ方で、差別を助長する。LGBTの差別を禁止するなどの法整備を求めるLGBT法連合会は23日に抗議声明を出した

▼杉田氏は「LGBTだからといって実際そんなに差別されているのか」とも述べる。性的指向性自認により、差別・偏見に悩む実態は多くの調査で明らかになっている。多様性を認める社会づくりにも逆行し、無理解も甚だしい

▼だれでも生きづらさを感じるときがある。それが社会の仕組みや習慣、風潮、差別によって生じるものであれば、見直し、解消することが共生社会の流れだろう

▼杉田氏は殺害予告メールを受け、関連するネット上の投稿を削除したが、謝罪はない。党の処分もない。国民の負託を受けた国会議員なら、困難を抱える人の声に率先して耳を傾けるべきだ。(赤嶺由紀子)

ネットウオッチ

伊藤詩織さん描く英報道、

自民議員発言に批判続々 

「日本の男尊女卑宣伝」

/「自己主張する女性嫌悪

2018年7月6日:毎日新聞

 <net watch>

 実名で性暴力被害を訴えているジャーナリスト、伊藤詩織さんを描いた英BBCの番組が反響を呼んでいる。番組内で自民党の女性議員、杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が、伊藤さんについて「女として落ち度があった」などと語り、多くの批判がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿されているのだ。【大村健一、中村かさね】

 番組は「Japan’s Secret Shame(日本の秘められた恥)」という約1時間のドキュメンタリーで、6月28日に放送された。日本では未公開だが、BBCの日本語サイトに概要が載っている。

 伊藤さんは2015年4月、TBS記者だった山口敬之さん(現フリージャーナリスト)と飲食中に意識を失い、ホテルで性的暴行を受けたと主張。刑事告訴したが、東京地検は16年、山口さんを不起訴処分とし、伊藤さんの申し立てを受けた検察審査会も昨年9月に不起訴相当と議決。現在は民事訴訟で争っている。

 一方の山口さんは「法に触れることは一切していない」と主張。月刊誌「Hanada」17年12月号の手記では、伊藤さんは泥酔による「アルコール性健忘」で「(伊藤さんの)勘違いと思い込みが行政と司法に粛々と退けられただけ」などと記している。

 BBCのインタビューに答えた杉田議員の発言で批判が集中するのは、次のように語った部分だ。

 「彼女の場合は明らかに女としての落ち度があった。男性の前でそれだけ飲んで記憶を無くした」

 「社会に出て女性として働いていれば嫌な人からも声をかけられる。それを断るのもスキル」

 また、BBCは、杉田議員がネット番組で「枕営業大失敗」と書かれた伊藤さんをモチーフにしたと思われる女性のイラストを大笑いするシーンも挿入しており、ツイッターでは「日本は男尊女卑が当たり前と宣伝しているも同然」などの批判が相次いだ。海外からの英語の投稿も少なくない。

 毎日新聞の取材に杉田議員は「2時間以上にわたるインタビューの全体像を見ていただければ意図と違うことをご理解いただけると思う」と事務所を通じてメールでコメント。杉田議員側で記録した映像を公開することも検討するという。

 しかし、杉田議員の発言をツイッターで批判した一人、東京大政策ビジョン研究センター講師の三浦瑠麗(るり)さんは「加害者ではなく被害者の素行を問うような態度は『女性が男性の前で酔っぱらったら何をされても仕方ない』という誤解を広めてしまう。杉田さんの発想の根底には、男性に対して強く自己主張する女性への嫌悪感があるように思う」と話している。=随時掲載

性被害

BBCの詩織さん番組で

「女として落ち度」言及 杉田水脈議員に批判

2018年7月5日:毎日新聞

ジャーナリストの伊藤詩織さんを描いたドキュメンタリー番組「Japan's Secret Shame」を紹介する

英BBCのインターネットの番組ページ。日本からのアクセスでは番組の視聴はできない

=BBCのウェブサイトから

 実名で性暴力被害を訴えているジャーナリストの伊藤詩織さんを描いた英国の公共放送BBCの番組が反響を呼んでいる。番組内で自民党杉田水脈(みお)衆院議員=比例中国ブロック=が、伊藤さんについて「女として落ち度があった」などと語り、多くの批判がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿されているのだ。【大村健一、中村かさね/統合デジタル取材センター】

 番組は「Japan's Secret Shame(日本の秘められた恥)」という約1時間のドキュメンタリーで、6月28日に放送された。伊藤さんが現場のホテルを再訪した時の様子、性暴力被害者の話を聞いたり、被害者の支援体制について内閣府男女共同参画局の担当者と話し合ったりする場面などを取材した上、関係者にインタビューして日本の性暴力被害者やその支援の現状を伝える内容だ。

 放送やインターネットでの配信は英国内に限られ、日本では未公開だが、概要がBBCの日本語サイトに掲載されている。

 伊藤さんは2015年4月、TBS記者だった山口敬之さん(現フリージャーナリスト)と飲食中に意識を失い、ホテルで性的暴行を受けたと主張。刑事告訴したが、東京地検は16年、山口さんを不起訴処分とし、伊藤さんの申し立てを受けた検察審査会も昨年9月に不起訴相当と議決した。現在は山口さんを相手取り、1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こして東京地裁で争っている。

 一方の山口さんは「法に触れることは一切していない」と主張している。月刊誌「Hanada」の2017年12月号に寄稿した手記では、伊藤さんは泥酔しており、意識を失ったのではなく「アルコール性健忘」で、「(伊藤さんの)勘違いと思い込みが行政と司法に粛々と退けられただけ」などと記している。

「意図と違う」と杉田議員

杉田水脈衆院議員

 BBCの番組は、伊藤さんへの中傷がネット上で広がったことを紹介した後、杉田議員のインタビューに移った。批判が集中しているのは、杉田議員が次のように語った部分だ。

 「彼女の場合は明らかに女としての落ち度があった。男性の前でそれだけ飲んで記憶を無くした」

 「社会に出て女性として働いていれば嫌な人からも声をかけられる。それを断るのもスキル」

 「(伊藤さんが)うその主張をしたために、山口氏の方がひどい被害を受けたのではないか」

 これに対してツイッターには「レイプやセクハラが横行する日本社会を変えようと思わないのか」「日本は男尊女卑が当たり前と宣伝しているも同然」などの批判が多数投稿された。また、「#JapansSecretShame」というハッシュタグをつけて感想を発信する人もおり、海外からの「日本で性的な被害を受けた女性が直面する現実はショッキングなものだった」など、英語の投稿も多い。

 こうした反響に、杉田議員も6月30日にツイッターで「なぜ私が伊藤氏の証言よりも山口氏の証言が正しいと思うのか? それは、政治の利害が一致するとか友達だからではなく、司法の判断に従ってのことです」と説明した。ただ、一般的には司法とは裁判所のことを指す。検察は司法手続きを担うとはいえ、行政の一機関だ。

 毎日新聞が改めて杉田議員に見解を求めたところ「今回のインタビューは2時間以上の長時間にわたるもので、その全体像を見ていただければ意図と違うことをご理解いただけると思います」と事務所を通じてメールでコメントした。公式サイトには「インタビューの映像はこちら側で全て記録しています」と記し、公開も検討しているという。

「被害者の素行を問うような態度は問題」

 ただ、批判の的になったのはそれだけではない。

 BBCの番組には、杉田議員が長尾敬(たかし)衆院議員=自民党、大阪14区=らとネット配信の番組に出演し、「枕営業大失敗」と書かれた伊藤さんをモチーフにしたと思われる女性のイラストを大笑いするシーンも出てくる。

 これも「あそこまで喜々としてセカンドレイプを加えるのは恐ろしい」などとSNSに投稿された。セカンドレイプとは、性暴力の被害を訴えた人に、重ねて精神的な苦痛を与える行為のことだ。

 これについて杉田議員は毎日新聞の取材に「イラストを見て笑っているように編集されていますが、実際には違う部分で笑っている映像をつなげたものです」と反論した。

 しかし、記者がそのネット番組を確認したところ、杉田議員が笑ったのは確かにイラストが出された直後ではなかったが、その後、別の出演者が「実際は(この件で伊藤さんは注目を集めたので)枕営業は失敗ではなく大成功」などと伊藤さんを揶揄(やゆ)し、それについての会話が続く中でのことだった。

 東京大政策ビジョン研究センター講師の三浦瑠麗(るり)さんも杉田議員の発言をツイッターで批判した一人だ。三浦さんは6月30日に「仮に財布がズボンのポケットからはみ出て気をつけてないうちにスられたとしても、窃盗は窃盗です」と投稿している。

 「立法に携わる国会議員の発言として問題がある」と毎日新聞の取材に三浦さんは話す。「酒で意識を失った女性が性交させられれば、準強制性交等罪(旧準強姦=ごうかん=罪)に当たる。加害者ではなく被害者の素行を問うような態度は『女性が男性の前で酔っぱらったら何をされても仕方ない』という誤解を広めてしまう。杉田さんの発想の根底には、男性に対して強く自己主張する女性への嫌悪感があるように思います。女性によるミソジニー女性嫌悪)と言えるかもしれません」

杉田水脈議員の差別思考

 国民の代表とは呼べない

2018年7月25日:毎日新聞

 これほど非常識なことを言う人物が国会議員であることに驚く。

 「LGBT(性的少数者)のカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」

 自民党杉田水脈(みお)衆院議員が月刊誌「新潮45」に寄稿したものだ。

 性的指向や障害によって人は差別されてはならない。先進民主主義国に共通する社会規範と言ってよい。

 LGBTへの差別や暴力の解消を国連が呼びかける中、日本も積極的な取り組みを求められているのに、逆に差別を助長するような主張を与党議員が公然と展開した。

 そもそも、子供を持つかどうかで人の価値を測り、「生産性」という経済の尺度で線引きするなど、許されることではない。

 しかも、日本に暮らす全ての人が対象となるのが行政サービスだ。そこからLGBTだけを外せと言わんばかりであり、これはもはや主義・主張や政策の範ちゅうではない。

 特定の少数者や弱者の人権を侵害するヘイトスピーチの類いであり、ナチスの優生思想にもつながりかねない。明らかに公序良俗に反する。

 国民の代表として立法権を行使し、税金の使い道を決める国会議員には不適格だと言わざるを得ない。

 杉田氏はこれまでも、保育所増設や夫婦別姓、LGBT支援などを求める動きに対し「日本の家族を崩壊させようとコミンテルン共産主義政党の国際組織)が仕掛けた」などと荒唐無稽(むけい)の批判をしてきた。

 「安倍1強」の長期政権下、社会で通用しない発言が自民党議員の中から後を絶たない。「育児はママがいいに決まっている」「がん患者は働かなくていい」など、その無軌道ぶりは共通している。

 杉田氏は2012年衆院選日本維新の会から出馬して初当選し、14年は落選したが、昨年、自民党比例中国ブロックで擁立した。安倍晋三首相の出身派閥である細田派に所属している。杉田氏の言動を放置してきた自民党の責任は重い。

 同時に、杉田氏の寄稿を掲載した出版社の対応にも問題があるのではないか。ネット上のヘイトスピーチに対しては、サイト管理者の社会的責任を問う議論が行われている。

(社説)LGBT 自民の認識が問われる

2018年7月25日:朝日新聞

 性的少数者をあからさまに差別し、多様な性のあり方を認めていこうという社会の流れに逆行する。見過ごせない見解だ。

 自民党杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題した月刊誌「新潮45」への寄稿で、同性カップルを念頭にこんな持論を展開した。

 「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」

 異性のカップルであっても、子どもを産むか産まないかは、個人の選択である。それを「生産性」という観点で評価する感覚にぞっとする。歴史的に少数者を排除してきた優生思想の差別的考えとどこが違うのか。

 杉田氏は、日本は寛容な社会で、LGBTへの差別はそれほどないという見方も示した。事実誤認もはなはだしい。学校や職場、地域での偏見や差別は各種の報告で明らかだ。

 さまざまな性的指向を認めれば、「兄弟婚を認めろ、親子婚を認めろ、それどころかペット婚や、機械と結婚させろという声も出てくるかもしれません」という主張に至っては、噴飯物というしかない。

 同じ自民党内の若手議員から「劣情をあおるのは政治ではなくて単なるヘイト」といった批判があがったのも当然だ。

 ただ、こうした認識は党内で共有されていないようだ。

 驚いたのは、きのうの二階俊博幹事長の記者会見である。

 「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観がある」「右から左まで各方面の人が集まって自民党は成り立っている」

 杉田氏の見解を全く問題視しない考えを示したのだ。

 自民党はもともと伝統的な家族観を重んじる議員が多い。しかし、国内外の潮流に押される形で、昨秋の衆院選の公約に「性的指向性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指す」と明記、「多様性を受け入れていく社会の実現を図る」と掲げた。杉田氏の主張は、この党の方針に明らかに反する。

 杉田氏はSNSで自身への批判が広がった後、ツイッターで「大臣クラス」の先輩議員らから「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」などと声をかけられたとつぶやいた。こちらが自民党の地金ではないかと疑う。

 少数者も受け入れ、多様な社会を実現する気が本当にあるのか。問われているのは、一所属議員だけでなく、自民党全体の認識である。

近事片々

LGBTは「生産性がない」と

言い切る感覚に驚く…

毎日新聞2018年7月24日:毎日新聞

 LGBTは「生産性がない」と言い切る感覚に驚く。自民の杉田水脈(みお)衆院議員が描く「美しい国」とは。

      ◇

 閣僚級の議員らから擁護され「党の懐の深さを感じた」とも。で、閣僚級って誰だ。

      ◇

 弱者をたたく病理の根深さ。障害者19人を殺害した元施設職員は、2年がたつ今も「社会に必要がない」と。

      ◇

 埼玉県熊谷市で史上最高を更新した猛暑。気象庁が「災害」と認識するどう猛さ。

      ◇

 その「災害」が直撃しそうな五輪まで、あと2年。選手や観客の「命の危険」を防ぐ知恵と技術が試される。

LGBT批判自民・杉田議員が

ノンポリから極右になるまで

2018年7月26日:日刊ゲンダイ

 トンデモない政治家がいたものだ。“大炎上中”の自民党杉田水脈衆院議員(51)。

 杉田氏は、月刊誌「新潮45」8月号に寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題した論文の中で、LGBTのカップルを「生産性がない」と批判。世間から猛バッシングを浴び、殺害予告が出される事態となっている。いったい、どんな人物なのか。

「杉田さんは兵庫県出身。鳥取農学部を卒業後、積水ハウス木造や兵庫県西宮市職員を経て、2012年の衆院選日本維新の会から出馬。小選挙区(兵庫6区)で敗れるも、比例近畿ブロックで復活し、初当選しています。その後、維新の分党に伴い、14年に、石原慎太郎が率いた次世代の党(現・日本のこころ)に参加し、国対副委員長などを歴任。同年12月の衆院選で落選したが、昨年10月の衆院選に自民から中国ブロックの比例単独で出馬して当選。安倍首相は杉田さんを『素晴らしい』と絶賛し、自民から出馬させたようです」(永田町関係者)

 “魔の3回生”など、安倍首相の子飼い議員にはロクなのがいない。杉田氏の言動も問題だらけだ。

 英BBCが6月に公開した伊藤詩織さんの準強姦事件のドキュメンタリー番組に登場した杉田氏は、詩織さんを「女性として落ち度がある」と、スジ違いの持論を展開。昨年12月には、自身のツイッター上に、日本について、<男性ばかりが国を治めていたのに400年間、戦争をしていない>などと投稿し、その独特な歴史観は世間を驚愕させた。

 日清戦争も第2次世界大戦もなかったことにしているらしい。ただ、議員になったばかりの頃はノンポリだったという。

「杉田さんは、ジャーナリストの桜井よしこ氏や自民の稲田朋美元防衛相に憧れています。どちらも安倍首相とのつながりが深く、タカ派で知られている。しかし、市役所を辞めて議員になったばかりの頃の杉田さんは、タカ派でもなんでもなく、行政改革に熱心に取り組むような人だった。次世代の党に参加してから右寄りになり過ぎた。特に人柄が悪いわけでもなく、勉強熱心なのですが、言っていいことと悪いことの区別がつかなくなっているのでしょう」(与党関係者)

 杉田氏の好きな言葉は、「過去と人は変えられない。自分と未来は変えられる」。トンデモ議員から脱却できるか、少しは考えたらどうか。