君への想い4

潤と二人で呑みに行って数日経ったが

仕事がテッペンまで回ることが多く、行き付けの店からは1週間遠退いていた。

そう言えば、あの夜、潤のお気に入りのBarで呑んだが

最後の方は全然記憶にない。

翌朝、ちゃんとTシャツとジャージでベッドに居たから

いつもように無事に帰って来れたんだろう。

今日は次の現場まで3時間ほど空き時間になった。

いつもは移動車の中や次の楽屋が空いていれば

pcで調べものをしたり、資料や台本に目を通したり、音楽を聴きながら仮眠したりする。

でも今日は珍しく街を散策しようと気紛れを起こす。

櫻井さん、17時くらいまでには戻ってくださいね。お気をつけて

マネージャーに念を押される。

りょーかい

潤みたいな派手なオーラじゃないからか、普段着でキャップと黒ぶち眼鏡でスタスタ歩いていると意外に気付かれない。

へー、こんな所にインテリアの店?か?

路地に入ると表の喧騒が嘘のような静けさだ。

緑の中の住宅街にポツンとある店。

吸い寄せられるように入ってみる。

いらっしゃいませ

白髪のスラッとした男性が店主らしい。

店頭の可愛いらしい雰囲気と違い、男性だったので一瞬躊躇する。

ざっと店内を見渡すと季節柄夏を意識したディスプレイ。

食器などのキッチン雑貨やアロマ、夏物のリネンの服もある。

男性用もあって、自分には馴染みのない雰囲気が逆に刺激になって楽しめた。

ひと月以上先だけど

潤の誕生日に何か良さそうなものあるかな。

毎年、リクエストを聞いてから買っているが、嵐の他の皆は、今年は何を上げるんだろう。

プレゼントが被ったら詰まらないし、こう言う店だったら、大丈夫かも。

ラベンダー色のリネンのストールが目に入る。

ユニセックスな感じで、

冷房が苦手な潤がサッと首に巻けて

いいかもしれない。

それを大切に持って店主に差し出す。

お願いします

プレゼント用ですか?

え?あ、はい。誕生日の

こんな笑顔でご主人が誕生日プレゼントを選んでくれて、、、奥様は幸せですね

え?

ああ、そうか。

俺くらいの歳にもなれば

結婚していて、奥さんにプレゼントするなんて当たり前のことか。

能天気なのか、俺は店主に誤解されても不愉快には思わなかった。

だって確かに

潤のプレゼントを選んで

俺は幸せな気持ちでいるからな。